emath:高校数学:微分と接線の傾き

こんにちは。相城です。今回は微分すると接線の傾きが求まることを書いておきます。

接線の傾きって微分で求まるの?

下の図は関数f(x)=x^3-xのグラフである。微分したものがなぜ接線の傾きになるのか考えてみましょう。ここでは, グラフ上のA( 1, 0 )における接線の傾きを求めてみます。

まず点Aを通る直線を考えるとき, 直線AC, ABのように点Aとは異なる点を通る直線が考えられます。ここで点A以外のグラフ上の点をC(1+h,f(1+h))(∵hは点Aからのxの増加量)とすると, 2点ACを通る直線の傾きは中学生の公式を使って, 次のように与えられます。

=\dfrac{f(1+h)-f(1)}{(h+1)-1}
=\dfrac{{(1+h)^3-(1+h)}-{1^3-1}}{h}
=\dfrac{1+3h+3h^2+h^3-1-h-0}{h}
=2+3h+h^2\cdots\textcircled{\scriptsize 1}
となります。
ここで, 接線とは接することであるから, この点Aからの増加量hは0に近くなり, 点Aではまさに0(厳密には0ではないが, 限りなく0である)になって, 接することになります。ですから\textcircled{\scriptsize 1}h\rightarrow0となり, 接線の傾きは2になることが分かります。これが関数f(x)x=1における微分係数(接線の傾き)です。このように, グラフを細かく見ていくことができます。
一般に関数f(x)x=aにおける微分係数は次のように定義されます。
f'(a)=\displaystyle\lim_{h \to 0} \dfrac{f(a+h)-f(a)}{h}
微分係数はxの値1つ1つに対応しますが, この1つ1つの対応を関数としてみたとき, 導関数(微分)は次のように定義されます。
f'(x)=\displaystyle\lim_{h \to 0} \dfrac{f(x+h)-f(x)}{h}\cdots\textcircled{\scriptsize 2}
実際, 上のf(x)=x^3-xの微分を導関数の定義の\textcircled{\scriptsize 2}でやってみると,
f'(x) & = \displaystyle\lim_{h \to 0} \dfrac{{(x+h)^3-(x+h)}-(x^3-x)}{h}
= \displaystyle\lim_{h \to 0} \dfrac{\cancel{x^3}+3x^2h+3xh^2+h^3-\cancel{x}-h-\cancel{x^3}+\cancel{x}}{h}
= \displaystyle\lim_{h \to 0} (3x^2-1+3xh+h^2)
= 3x^2-1
微分をご存知の方は, f(x)=x^3-xなら, f'(x)=3x^2-1となることは瞬時にお分かりだと思います。したがって, x=1における微分係数(接線の傾き)は, f'(1)=2となり, はじめに計算したものと一致します。このように, 導関数を求め(微分し), 接点のx座標を代入することで接線の傾きが得られます。
微分することで, 瞬間の変化の割合(傾き)が分かります。これによって, グラフを細かく見ていくことが可能です。また, 変化の割合が一定でないことは, そのグラフは曲線を描くことは言うまでもありません。

微分係数ではxの値に応じて1つ1つ求めなければなりませんが, 今後微分係数の計算は導関数を求めて(微分して), それに必要なxの値を代入することで, 所定の微分係数は得られるようになります。

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